株式会社 佐山住器

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4.LPガスの安定供給

LPガスの生産方法

LPガスの採掘

LPガス(プロパン、ブタン)は、油田や天然ガス田の内部にメタンやエタンなど他のガスと混在した状態で存在しています。そのガスを地上の設備に移送してプロパン、ブタン、他のガスなどに分離・回収し、さらに硫黄や水銀などの不純物を取り除くことにより、プロパン、ブタン、他のガスなどの最終製品となります。油田で生産されたものを「原油随伴」、天然ガス田で生産されたものを「天然ガス随伴」と呼んでいます。最近では原油随伴が減少し、天然ガス随伴の比率が増加しています。またLPガスは原油にも含まれており、製油所で原油を精製によって分離されています。

LPガスの生産方法

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「シェール革命」とLPガス

近年、米国を中心として新しい油田・ガス田の開発が活発化しており、「シェール革命」として注目を集めています。従来、経済的に掘削が困難と考えられていた地下2,000メートルより深くに位置するシェール層の開発が2006年以降に進められ、生産が本格化してきました。シェールガスを採掘可能な場所は世界中に分布しており、世界のエネルギー市場等に影響を与えています。
シェールガスにはLPガスも含まれており、シェールガス、シェールオイル由来のLPガス生産は始まっています。こうした状況を受け、今後はLPガス調達先の多様化、中東依存度の低減、安定的な価格体系の形成等にシェール革命が寄与すると期待されています。

シェールガスの掘削

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LPガス備蓄の推進と強靭な供給体制の構築

国民生活に必要不可欠な一次エネルギーの安定供給確保は、国家にとって重要な課題です。特に一次エネルギーのほとんどを輸入に頼っている我が国にとって、エネルギー源の多様化や新エネルギーの開発、輸入相手国の分散化など、様々な角度から手段を講じる必要があります。その中の1つに、国内での備蓄が挙げられます。

国家備蓄と民間備蓄

現在、日本国内で法律によって備蓄が義務付けられているエネルギーは、石油とLPガスの2種類だけです。このうち、民間企業が備蓄しているものを「民間備蓄(法定備蓄)」、国家が備蓄しているものを「国家備蓄」といい、LPガスの場合、輸入量の40日分が民間備蓄として義務付けられています。
国家備蓄は全国5か所(茨城県神栖市、石川県七尾市、岡山県倉敷市、愛媛県今治市波方町、長崎県松浦市福島町)において、国家備蓄基地の建設を決定しました。2005年7月に七尾国家石油ガス備蓄基地、9月に福島国家石油ガス備蓄基地、12月に神栖国家石油ガス備蓄基地が完成し、倉敷国家石油ガス備蓄基地、波方国家石油ガス備蓄基地も、2013年3月に完成、操業を開始しました。2017年、倉敷基地へのガス受け入れ完了をもって、国家備蓄目標である輸入量の約50日分(約140万トン)の備蓄が達成され、LPガスの備蓄体制が完了しました。

LPガス国家備蓄基地建設地
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  • 備蓄方式について

    地上備蓄…地上にある鋼製タンク内にLPガスを入れ、低温の状態で貯蔵します。
    地下備蓄…地下の岩盤に巨大なトンネルを掘り、そのトンネルをタンクとしてLPガスを貯蔵します。

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地下岩盤貯蔵方式
・LPガスの蒸気圧より高い地下水圧によりLPガスを地中に閉じ込めているので、LPガスはもれることなく備蓄されます。
・水圧を安定させるため水封ボーリングから岩盤に給水します。
・海外でも多く採用されており、石油の備蓄基地にも使われています。
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国家と民間の備蓄量

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供給体制のさらなる強化に向けて

LPガスは「災害に強いエネルギー」として、過去の災害において大きな役割を果たしてきました。東日本大震災(平成23年3月発生)でも、津波や地震により被災地のLPガス供給基地も大きな被害を受けましたが、関係者による懸命の努力により、LPガスの供給に大きな支障を生じることはありませんでした。しかし、過去に例のない大規模災害への対応という点では、いくつかの課題を残しました。これを踏まえ、政府は平成24年3月、「東日本大震災を踏まえた今後のLPガス安定供給の在り方に関する調査」を取りまとめました。この報告書には「LPガスサプライチェーンにおける災害対応能力強化」対策として、中核充填所の選定と機能強化、一次・二次基地の出荷機能強化、国家備蓄の機動的放出の検討等が盛り込まれました。業界では、国の支援を受けながらこれらへの対応等を図るとともに、さらに強靭なLPガス供給体制の構築に向けて、日々努力を続けています。

LPガスの供給システム

LPガス供給システムには、個別供給システム、導管供給システムがあります。導管供給システムには、法律上の区別により、小規模導管供給システムと簡易ガス供給システムに分けられます。

個別供給システム

LPガスの個別供給システムは、家庭向けで最も一般的な形態です。各戸ごとにLPガスの容器を設置し、LPガスを供給します。使用量は消費先に設置されたガスメーターでカウントされます。

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バルク供給システム

バルク供給は、製鉄所や工場など、比較的大量にLPガスを消費する事業者向けの供給方式として用いられてきましたが、1997年(平成9年)の法改正で、一般家庭を含む小口の消費者に対する供給手段としても利用できるようになりました。特に小口向けのものは、従来のものと区別するため「新バルク供給システム」と呼ばれることもあります。

バルク供給とは?

新バルク供給システムは、従来の容器交換方式に代わるもので、一般住宅、集合住宅、業務用住宅などに設置されたバルク貯槽に、バルクローリで直接LPガスを充填する供給方式です。一度に大量のLPガスを輸送することによって、より安定した供給を実現することはもちろん、配送の合理化、保安の高度化、美観の向上など多くのメリットがあります。

バルク貯槽

新バルク供給システムは、従来の容器交換方式に代わるもので、一般住宅、集合住宅、業務用住宅などに設置されたバルク貯槽に、バルクローリで直接LPガスを充填する供給方式です。

貯槽には主に地下式と地上式の2種類があります。また、容量・形状は多くのバリエーションがあるので、設置場所の状況に応じて最適なものを選択できるようになっています。LPガスの使用量の計測は、消費先に設置されたガスメーターでカウントされた数量をもとに計算する場合と、バルクローリに設置された充填質量計により計算する場合とがあります。この供給システムは、物流の合理化に寄与する未来型供給形態として、今後ますます普及していくものと期待されています。
[イメージ] バルクローリとバルク貯槽(たて型)
バルク供給システム
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  • [イメージ] バルク貯槽(よこ型)

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