株式会社 佐山住器

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5.LPガスとスマートハウス

LPガスは全国約2,400万世帯(全世帯数の約半数)に個別供給され、災害時には復旧の早い自立分散型で国民生活に密着したエネルギーです。 近年、LPガスと太陽光などの自然エネルギーとを組み合わせ、災害時の対応能力や使用効率をさらに向上させた「新しいスマートハウス」が登場しています。

LPガスを活用した新しいスマートハウス

スマートハウスとは、高気密・高断熱を施した省エネ住宅に、家庭用燃料電池や太陽光発電、蓄電池などの機器を備え、それらをHEMS(Home Energy Management System)によって効率的に管理・制御を行うことによって、ご家庭へのエネルギー供給を安定的かつ効率的に行う新しいシステムを搭載した住宅です。気象条件によって出力が不安定な太陽光発電を燃料電池による発電で補完することにより、省エネ性と快適性、さらに売電によって経済性も確保することができます。
近年、このスマートハウスの主要なエネルギー源としてLPガスを採用した新しい住宅が誕生しています。それらの住宅は、災害等により系統電力や都市ガスの供給が途絶した場合でも、容器に残存しているLPガスを消費することによって自立的にエネルギーを供給し続けることができるように設計されており、災害時の対応力を格段に向上させています。このLPガス版スマートハウスは、災害時のエネルギー安定供給と省エネ・省CO2性を両立させた次世代型住宅として、既にその普及が始まっています。

LPガスを活用した新しいスマートハウスシステム

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レジリエンス住宅

株式会社LIXIL住宅研究所が開発した「レジリエンス住宅CH14」は、「電気、ガス、水道等の供給が長期に停止する大災害などの非常事態でも約1ヶ月間自立できる家」をテーマとして、太陽光発電に加えて、LPガスによる家庭用コージェネレーションシステム(エコウィル)を採用しています。エコウィルは系統電力の途絶時に手動で運転を開始し、電気を供給します。またLPガスの残量を自動で管理し常に十分な量のLPガスが確保されるようになっているため、災害時でも安心して使用することができるように設計されています。

  • [イメージ] (株)LIXIL住宅研究所レジリエンス住宅CH14
  • [イメージ] エコウィル
  • [イメージ] LPガスバルク貯槽(150kg)

家庭用燃料電池「エネファーム」

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エネファームの仕組み

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アイシン製
燃料電池
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定格発電出力 700W
発電効率/総合効率 51%/85%(低位発熱量基準による)
貯湯タンク容量 28リットル
最大ガス消費量 1.35kW ± 10%
接続電力 200V 単相3 線式(50/60Hz)
外形寸法 1,195mm(H)× 780mm(W)× 330mm(D)(突起部含まず)
パナソニック製
燃料電池
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発電出力 300~700W
定格発電効率 35.0%(HHV) 38.0%(LHV)
定格熱回収効率 52.5%(HHV) 57.0%(LHV)
最大ガス消費量 87.5%(HHV) 95.0%(LHV)
貯湯タンク容量 140リットル

エネファームの特徴

家庭用燃料電池「エネファーム」は、LPガスから水素を取り出して空気中の酸素と化学反応させることにより発電を行い、同時に発生した排熱を利用して給湯も行うコージェネレーションシステムです。化学反応を利用して発電を行うため、従来型システムに比べて高い省エネ性・環境性を兼ね備えています。
エネファームによる発電で家庭で使用する電力の約7割をまかなうことができ、系統電力の購入量の削減やピークカットに貢献することができます。また、使用状況に合わせて最も効率のよい運転を自動的に学習する機能がついているので、面倒な操作も必要ありません。

エネファームの種類

現在エネファームには、PEFC(固体高分子形)とSOFC(固体酸化物形)の2種類があります。PEFCは排熱回収効率が高く起動停止が比較的容易、またSOFCは電力負荷に合わせて24時間連続運転を行い、PEFCに比べて発電効率が高く本体も小型という特徴があります。実際の運用や設置条件に合わせて、それぞれ適したタイプを選択することができます(LPガス仕様はPEFCのみ)。
2009年の発売開始以降、エネファームは頻繁にモデルチェンジがなされており、高効率化、小型化、低コスト化が現在進行形で進められています。また東芝機には、停電時にもバッテリーなしで運転できるよう自立発電機能が搭載されており、系統電力の途絶時でも継続的に発電することができます。

エネファームと太陽光のダブル発電

エネファームによって出力が不安定な太陽光発電を補完することにより、CO2のさらなる削減、売電量のアップなど様々なメリットが生まれます。エネファームで発電した電力を優先的に消費することにより、太陽光で発電した電力の自家消費分を削減することで、より多くの電気を電力会社に売電することができます。

ダブル発電による売電量アップ

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エネファームの普及

現在、国では分散型発電システムの普及促進の一環として、エネファーム導入補助制度を2009年より実施しています。それにより、2014年には普及台数が10万台、2019年11月には30万台(都市ガス仕様機含む)を突破しました。
近年、日本各地で自然災害に伴う大規模停電が発生していますが、エネファームの停電時発電機能によって、停電中も冷蔵庫、洗濯機、扇風機等の一部家電やお湯の使用、携帯電話の充電等がお使いいただけることから、エネファームはその高い省エネ性だけでなく、レジリエンス性という新しい価値にも注目が集まっています。

エネファーム普及台数見込み(LPガス仕様のみ)

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高効率ガス給湯器「エコジョーズ」

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エコジョーズの仕組み

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  • 停電自立型エコジョーズ(㈱長府製作所) [イメージ]
    バックアップ電源の電力により停電時も自立運転が可能。

エコジョーズの特徴

高効率ガス給湯器「エコジョーズ」は、排気中の潜熱を再利用することにより、従来の給湯器の熱効率(約80%)を大幅に上回る、最大95%の高い熱効率を達成したガス給湯器です。最近では設置スペースが限られた集合住宅向けに小型化したタイプや、寒冷地でも使用できるように改良されたタイプも市販され、様々な設置条件に適応できるよう改善が進められています。

エコジョーズの種類

エコジョーズには通常の給湯器単体タイプのほか、ヒートポンプや太陽熱と組み合わせることによりさらに効率を高めたハイブリッドタイプと呼ばれる製品もあります。ハイブリッド給湯・暖房システムは、ヒートポンプを利用した効率的な運転により、一次エネルギー換算で約125%の熱効率を達成したガス給湯器です。また、太陽熱温水器のバックアップシステムとしても活用され、再生可能エネルギーを利用することで、より高い環境性と経済性を実現しています。また、新たに災害対応として、停電時にもバックアップ電源を使用して自立運転のできる製品も販売されています。

  • ハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE」(リンナイ製) [イメージ]
  • 太陽熱利用ガスふろ給湯システム「VFシリーズ」(ノーリツ製) [イメージ]

ガス給湯器のエコジョーズ化に向けて

LPガス事業者、都市ガス事業者、簡易ガス事業者の団体で構成している日本ガス体エネルギー普及促進協議会では、地球温暖化対策における家庭用部門のCO2排出量の削減等を目的としてエコジョーズ化を推進し、その結果戸建て住宅や新築マンションではエコジョーズ化が大きく進みました。
また、2025年度を目標年度とするガス給湯器の新しい省エネ基準が設けられ、家電や自動車等の主に家庭用機器を対象に、その製品分野で最も消費効率の高い製品(トップランナー製品)の普及を、その業界全体で目指す基準となります。

「エコジョーズ化宣言」ロゴ

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家庭用ガスエンジンコージェネレーション「コレモ」

家庭用ガスエンジンコージェネレーション「コレモ」(アイシン精機)は、LPガスを使って電気を作り、その際に発生した熱で暖房を行うコージェネレーションシステムです。貯湯タンクを持たず省スペースで、既設のガス給湯暖房器に接続できるため、新築だけでなく、既築住宅の後付にも対応しています。また、自立運転機能付きのタイプも市販されています。

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アイシン精機 [イメージ]
発電出力 0.5~1.5kW
発電効率(低位発熱量基準) 26%(定格1.5kW 発電時)
総合効率(低位発熱量基準) 90%(定格1.5kW 発電時)
販売エリア 日本全国

ガスでできることはガスで
―家庭用エネルギーのベストミックス―

ご家庭での節電対策

福島第一原子力発電所の事故に端を発する原発の稼働率低下に伴い、特に夏季のピーク時において電力需給がひっ迫する恐れがあるとして、現在全国的な節電対策が求められています。これを受けガス業界では、「ガスでできることはガスで」を合言葉に、主にキッチンでのガス機器の利用による節電を推進しています。
以下に示すように、電化製品のうち特に厨房機器は消費電力が大きいものが多く、また朝や夜間などに使用が集中するため、系統電力に負担をかけることになります。これらの機器をすべてガス機器に置き換えることで、厨房利用時の消費電力を大きく節約することができます。
また、その他の節電対策として、エネファーム・エコウィルによるマイホーム発電があります。各ご家庭で個別に発電を行うことにより、系統電力への負担を軽減できると同時に、災害時の非常用電源として活用することもできます。

主な家電製品の定格消費電力

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ガス機器との消費電力比較
消費電力(W)
電化製品 ガス機器
加熱調理 [イメージ] 5.800 0
炊飯 [イメージ] 1.300 0
湯沸し [イメージ] 800 0
トースター [イメージ] 750~1,100 0
あたため [イメージ] 1,400 0
ストーブ
(ガスファンヒーター)
[イメージ] 900 20
床暖房 [イメージ] 2,000 300

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